2019年1月8日 更新
第33回銀杏講演会は、東京大学理事・副学長の羽田正教授に下記のような視点からご講演をいただきます。
前近代の日本の歴史が、日本列島の外の動きをはっきりと意識し考慮して語られることは、これまであまりありませんでした。日本列島という空間の枠内で生じる事象の展開を、古い時代から現代まで時の流れに沿って解釈し説明することが、日本史研究の重要な役割なのですから、それは当然だともいえるでしょう。しかし、日本列島の過去は、同時期の世界各地で人々が繰り広げる様々な動きと決して無縁ではありませんでした。世界史の大きな流れの中に日本の過去を位置づけ、横のつながりに注目してみると、日本史の枠内では従来あまり強調されなかった重要な史実が明らかになったり、通説の弱点が見え新たな解釈が提案できたりすることがあります。
今回は、グローバルヒストリーという手法を用いて、16世紀後半から17世紀前半(安土桃山~江戸初期)と19世紀半ば(開国期)の日本列島の歴史を、世界史の文脈から捉え直してお話ししてみたいと思います。それは、日本の過去を材料にして世界の過去を捉え直す作業の一環ともなるでしょう。
1976年京都大学文学部史学科卒業。1978年同大学大学院文学研究科修士課程修了。1980年よりパリ第3大学博士課程へ留学。1983年同大学よりDoctorat de troisième cycle(Etudes iraniennes)を取得。日本学術振興会特別研究員、京都橘女子大学文学部助教授を経て、1989年より東京大学東洋文化研究所助教授。1997年同研究所教授(現職)となり、2004年より同副所長(2006年3月まで)、2009年より同所長(2012年3月まで)を務める。2012年より東京大学副学長・国際本部長(2015年3月まで)。2016年より東京大学理事・副学長を務める(現職)。